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知っておきたい可燃性ガスの種類とそれぞれの特徴

知っておきたい可燃性ガスの種類とそれぞれの特徴

可燃性ガスとは、その名のとおり空気中または酸素中で燃えるガスのことを指します。ガスの爆発事故の原因物質となるため、取り扱いには注意が必要です。一口で可燃性ガスと言っても、その種類や性質は実にさまざま。それらに応じて当然取り扱いの方法も変わってきます。そこで今回は、代表的な可燃性ガスの種類とそれぞれの特徴についてご紹介します。

可燃性ガスとは?

「可燃性」とは、酸素などの酸化剤と反応して燃焼(光や熱を発して激しく酸化すること)しやすい性質のことを言います。そういった燃えやすい性質を持つガスが可燃性ガスです。

そのため、一定の濃度の可燃性ガスが酸素と一緒にある状態で火を付けると、爆発を起こします。逆に言うと、「空気(酸素)」や「着火源(火種)」がなければ、可燃性ガス単独では爆発の危険性はありません。ただし、アセチレンガスや酸化エチレンガスなどの衝撃や光によって爆発を引き起こす「分解爆発性」を持つガスは、単独でも爆発する恐れがあります。

一方、可燃性ガスの一種である天然ガスやプロパンガスは一般家庭にも供給されており、調理時の熱源や暖房器具の燃料、給湯燃料などとして、私たちの日々の暮らしに役立っています。これらの成分は本来無臭ですが、消費者向けに供給される可燃性ガスについては、ガス漏れに気付きやすくするよう、法令によって臭いを付けることが義務付けられています。ガスコンロの操作時などに、「タマネギの腐ったような臭い」とも形容される刺激臭を、誰しも一度は嗅いだことがあるのではないでしょうか。

また、殺虫剤やヘアスタイリング剤といったスプレー缶の封入ガスにも、可燃性ガスが用いられている場合があります。私たちの身近なところで「可燃性ガス」は、大いに活躍しているのです。

気体であるガスは目に見えにくく、人の手では集める方法がないため、いったん容器から出てしまうと、周囲へ広がっていくことを止めることは不可能です。それらに引火すると火災や爆発事故につながるため、家庭用・工業用を問わず、可燃性ガスには常に適切な取り扱いが求められます。

可燃性ガスの定義

日本では、「容器保安規則(昭和41年5月25日通商産業省令第50号)」の第二条第一項29号に、水素、メタン、エタン、プロパン、一酸化炭素、エタノールといった可燃性ガスの種類が具体的に定義されています。

しかし、その他の種類のガスであっても、次のいずれかに当てはまるものは、可燃性ガスと分類されます。複数の種類のガスを混ぜて作られる混合ガスなどの中にも、可燃性ガスと同様の性質を伴うものが多数存在するためです。

  • 爆発限界(空気と混合した場合の爆発限界をいう。以下同じ。)の下限が10%以下のもの
  • 爆発限界の上限と下限の差が20%以上のもの

種類が明示されている可燃性ガスだけでなく、これらの項目に当てはまる物質の取り扱いに関しても、可燃性ガスと同様に注意しなければいけません。

可燃性ガスの爆発範囲

爆発とは、圧力の急激な発生または解放の結果、激しい熱や光、音などを発しながら周囲を破壊する現象で、急激な化学反応や核反応、容器の破裂などによって発生します。可燃性ガスによる爆発は急激な化学反応にあたります。

爆発が起こるには、基本的に「着火源(火種)」と「可燃物(可燃性ガスはこれにあたる)」、「空気(酸素)」という3要素がそろっていることが条件です。ただし、可燃性ガスが空気中に漂っていても、一定の濃度に達していなければ引火しません。

ガスの種類によって、爆発を起こす最低濃度と最高濃度は決まっており、混合ガスになると、混ざっているガスの種類によって爆発範囲が変わってきます。爆発を起こす最低濃度を爆発下限界、最高濃度を爆発上限界と言います。爆発下限界と爆発上限界の間を、「爆発範囲」と呼び、爆発下限界より低い濃度ではもちろん、爆発上限界より高い濃度でも爆発はしません。

当然のことですが、爆発事故を防止するために設置するガス警報機は、爆発下限界よりかなり低いレベルで反応するようにセンサーを設定しなければなりません。爆発下限界の低いガスの取り扱いほど、感度の高いセンサーが求められます。

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可燃性ガスの種類とそれぞれの性質

では、次に可燃性ガスの種類とそれぞれの特徴を見ていきましょう。

主な可燃性ガスには、次のようなものがあります。それぞれの化学式や爆発範囲などをリストにしました。なお、ガス濃度を表すために用いられる単位「vol%」は、一般的に用いられる質量比ではなく体積比を表しています。また、爆発等級とは、爆発性雰囲気の中に置かれた標準容器の接合部(奥行25mm)を通って、内部の爆発性火災が外部に噴出することを阻止できる最大のすきまの値(火炎逸走限界)により3等級に分類されたものです。0.6mmを超えるものが1等級、0.4mm超0.6mm以下のものが2等級、0.4mm以下のものが3等級で、3等級が最も危険度が高くなります。

 

【ガス(化学式)】

【爆発下限界】

【爆発上限界】

【爆発等級】

【許容濃度】

水素(H2

4.0vol%

75 vol%

3

 

メタン(CH4

5.0 vol%

15 vol%

1

 

エタン(C2H6

3.0 vol%

12.5 vol%

1

 

プロパン(C3H8

2.1vol%

9.5vol%

1

 

一酸化炭素(CO)

12.5vol%

74vol%

1

25ppm

エタノール(C2H5OH)

3.3 vol%

19 vol%

1

TLV-STEL
1000 ppm

上記のリストにあるように、可燃性ガスの種類によっては毒性があるため、それらを取り扱う作業員の暴露量に関する許容濃度も定められています。ACGIH(アメリカ合衆国産業衛生専門家会議)および日本産業衛生学会から、勧告の形で示されているものです。可燃性ガスの取り扱いでは、爆発事故を起こさないよう濃度を管理する必要があるほか、作業員の暴露量にも注意を払わなければならないということです。

ACGIHの定める許容濃度(TLV:Threshold Limit Value)は、それらが空気中に存在する職場で、1日8時間程度もしくは週40時間程度の作業を繰り返し行っても、まったく健康に障害を及ぼさない時間加重平均濃度(TLV- TWA:Time-Weighted Average)で示されるのが基本です。ただし、TLV-STEL(Short-Term Exposure Limit:短時間暴露限界:15分間以内における平均値が超えてはならない値)で示されるエタノールや、TLV-C(Ceiling:天井値:瞬間的にも超えてはならない濃度)で示されるシアン化水素など、ガスの種類により例外もあります。

以上のことから、ガスの種類や性質によって、暴露する作業員はどういった点に注意すべきかが異なることが分かります。

可燃性ガスは適切な取り扱いを

可燃性ガスは爆発事故の原因物質であり、爆発事故を起こさなくとも、吸い込むだけで人体に影響を与える恐れがあるものもあります。そのため、いずれの可燃性ガスであっても、その特徴を知り、取り扱いには適切な処理が求められます。このような成分を取り扱う現場では、精度の高い検出器の設置や恒常的なガスの濃度管理が欠かせません。安全性の確保は、どの職場でも最優先で取り組むべき課題と言えます。

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