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水素って何?主な用途と知っておきたい特徴

水素って何?主な用途と知っておきたい特徴

水素は皆さんご存じのとおり、周期表で最初に記載されている元素です。誰しも「水平リーベ、僕の船……」と唱えながら、周期表を覚えた経験をお持ちなのではないでしょうか。周期表で最初に記載されている理由は、元素のなかで最も小さく、原子番号が1だからです。

「水の素」と書くことからも分かるように、私たちが生きるうえで欠かせない水を構成する物質である元素「水素」。こちらではその用途や、知っておきたい特徴をご紹介していきます。

水素の特徴と性質

水素は元素のなかでも一番小さな原子番号を持つ元素で、宇宙全体で一番多く存在している元素でもあります。地球上にも無数の水素元素が存在していますが、そのほとんどは水(H2O)や炭化水素のように「化合物」として存在しています。

空気よりも軽い無色無臭の気体で、それ自体は吸い込んでも害がありません。ただし一定の濃度を超えると引火する危険のある「可燃性ガス」の一種なので、定められた手順を順守して正しく取り扱わなければなりません。

水素は、肥料製造や半導体加工、石油化学工業など産業分野で幅広く使われています。また、私たちの日々の暮らしにも家庭用燃料電池「エネファーム」や二次電池(ニッケル水素電池)などとして使われています。

水素の生成方法

水素は地球上のあらゆる場所に存在しており、さまざまな生成方法があります。太陽光や風力といった自然エネルギーからの製造も可能なので、資源に乏しいわが国では化石燃料に代わるエネルギーとしても注目を集めています。具体的な生成方法には、次のようなものがあります。

水の電気分解

水酸化カリウムなどの電解質を溶かした水に電気を流すことで水素を発生させます。

天然ガスなどの化石燃料

天然ガス中のメタン(CH4)や原油中のナフサなど、水素と炭素からなる物質を水蒸気と化学反応させ、水素と一酸化炭素、二酸化炭素に分解。そのガスから一酸化炭素や二酸化炭素を除去し、水素を取り出します。

森林資源や廃材などのバイオマス

バイオマス原料を高温に熱し、化石燃料の場合と同様に水蒸気と反応させることで水素を取り出します。

工業プロセスの副産物

製鉄所や食塩電解などの工場で発生するガスから副産物として生じる水素を分離して、純度の高い状態にします。

無数に広がる用途

水素を使った燃料電池は使用時に二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギーとして注目されていますが、水素の用途はそれだけではありません。水素そのものとして、液化水素として、メタルハイドライドとして、さまざまな形で活用されています。なお、メタルハイドライドとは水素を取り込む性質が高く可逆性も高い合金に水素を吸蔵させたもので、日本語では水素吸蔵合金と言います。

エネルギーとしての水素については、後ほど改めて説明します。

  • 水素そのものとしての活用

フロートガラスや人造宝石、光ファイバーなどのガラス類、メタノール合成や洗剤や化粧品、香料の製造といった化学分野、磁気テープや金属粉末の製造、プラズマ溶接といった金属分野、IC・LSI・トランジスタ、電子部品、液晶といった弱電分野、次世代燃料の開発や分析・試験、気象観測用試験といった試験・研究分野、発電機・原子炉、太陽電池といった電力分野など、実にさまざまな分野で活用されています。

  • 液化水素としての活用

水素の沸点は約-253℃と非常に低いため、私たちが普段の暮らしで液化水素を目にする機会はありません。しかし液化水素は、ロケット燃料や液化水素エンジン、燃料電池車、水素エンジン車、超電導研究、リニアモーターカー、次世代クリーンエネルギーの開発などさまざまなところに用いられています。

  • メタルハイドライドとしての活用

燃料電池車の動力源や、水素の貯蔵方法として活用されています。

エネルギーとしての水素

先述のとおり、水素はクリーンなエネルギーとして注目されています。エネルギーとしての水素について少し見ていきましょう。

ガソリン1L(約750g)と同じエネルギーを得るために必要な水素は、わずか1m3(約90g)です。また、一般的な化石燃料と異なり、利用時に二酸化炭素を排出しません。

一方水素は気体であるためガソリンに比べると体積が大きくなりますが、圧縮して体積を減らし、貯蔵、輸送することが可能です。エネルギー効率が高く、熱や電気として利用することもでき、液化水素の形でロケット燃料にも利用されています。

燃料電池とは

燃料電池とは、燃料である水素と酸化剤を外部から供給しつつ、装置内で反応させて電気を創り出すタイプの電池で、電気を貯めておく乾電池や畜電池とは構造が異なります。燃料電池=小さな発電設備だと考えれば分かりやすいのではないでしょうか。

装置内で燃焼反応を起こすのではなく化学反応で発電するため、動作音が静かだという特徴があります。作動時に騒音が出ないので、設置場所の選択肢も広がります。

発電時に出る副産物は水のみで、二酸化炭素や窒素酸化物などを排出しないため使用時の環境負荷がありません。さらに、火力発電などのようにいったん熱エネルギーや運動エネルギーに変換する必要がないため、エネルギー損失が少なく、効率が高い発電ができるのも利点です。

燃料電池の用途は幅広く、燃料電池自動車からトラック、バイク、バス、船、電車、建設機械、トラクター、家庭用のコージェネレーションシステム、集合住宅向けのコージェネレーションシステム、災害時避難所用非常用電源など、さまざまなシーンで活用が進みつつあります。

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水素が金属に与える影響

水素は分子が非常に小さく、ごく小さな隙間でも通過してしまううえに、金属の中に入り込んで強度を弱める特性があります。高強度の鋼材に水素が取り込まれ、「遅れ破壊」と呼ばれる破壊現象を引き起こす「水素脆性(すいそぜいせい)」という現象の原因になることが知られています。

遅れ破壊は前触れなくパキッと折れるなどの破壊現象のことで、大変危険な事故の原因ともなりかねず、これまでも持続して対策が検討されてきました。

水素脆性はめっき工程において水素が金属素材内に吸収されたり、環境中の硫化物による触媒的作用を介して水素が吸収されたりすることで引き起こされるとされていますが、破壊に至るまでの詳しいメカニズムは諸説あるものの、完全には未だに解明されていません。金属材料を取り扱う現場では、この水素脆性対策が求められます。

水素脆性やその対策についてさらに詳しく知りたい方は、「水素脆性とは?原因から対策までを徹底解説」をご参照ください。

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水素の取り扱い

ご紹介したように水素は可燃性ガスの一種であり、誤った使い方をすれば大変危険です。しかし正しい取り扱いができれば、クリーンで安全なエネルギーとして活用できます。

安全に利用するためには保存容器から漏らさないことが大切であり、貯蔵容器には高い密閉性のあるものを使用しなければなりません。金属の中に入り込んで強度を弱め、「水素脆性」を引き起こす可能性があるため、保存容器にはその現象に耐性のある材料を使う必要があります。

また、可燃性ガスは万が一漏れた場合でも、一定以上の濃度に達しなければ引火しません。そのため、水素を扱う現場では漏れた水素が溜まらないようにすることが大切です。水素は空気より軽く拡散のスピードが速い気体であるため、適正な換気システムがあれば引火のリスクを軽減することができます。

暮らしに欠かせない身近な元素

水素は私たちの生命活動に欠かせない「水」を構成する元素で、水をとおして、すべての人が日々触れ合っている身近な存在です。身体の中にもたくさんの水が含まれています。そんな身近な存在である水素には、エネルギーとしての活用をはじめ、実にさまざまな活用法があります。今回は、水素の代表的な用途をご紹介しました。

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