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冷媒の働きと種類―これまでの歴史と次世代の冷媒

冷媒の働きと種類―これまでの歴史と次世代の冷媒

冷媒とはどのような働きをしているものなのでしょうか。冷媒がどのようにして冷気を生み出しているのかを解説しながら、冷媒の種類とこれまで歩んできた歴史を振り返ります。また、次世代の冷媒として求められる条件と、研究の進む新冷媒をご紹介します。

冷媒の働き

冷媒は冷気を生み出すためになくてはならないものです。具体的にどのようなものなのか、どのようにして冷気を生み出しているのかを見てみましょう。

冷媒とは

冷媒が冷房装置に使われているものであることは、ご存じの方も多いでしょう。冷媒は、エアコンや冷凍機など冷気を作り出す装置において熱移動をするための作動流体。つまり、冷媒の主な役割は「熱の移動」なのです。

一方、熱移動により低温を得るために用いられているのが、冷凍サイクルと呼ばれる仕組みです。この冷凍サイクルでは、冷媒は圧縮や膨張により液化と気化を繰り返す必要があります。常温に対してある一定の温度差のときに液化または気化をしなければならないため、特定の温度域を持つガスが、冷媒として使われます。

冷媒によって冷気が生まれる仕組み

暖気を生み出す方法はシンプルで、可燃性の物質を燃やせば熱を発生させることができます。人類は太古の時代からその方法を利用し、火で暖をとってきました。しかし冷気をつくるのは簡単なことではなく、そこから何十万年という長い年月を経て、1900年代にようやく冷房装置が完成しました。

では、どのような仕組みで冷気が生み出されているのでしょうか。

それは、「圧縮機」「凝縮器」「膨張弁」「蒸発器」の四つの主要部品を通りながら成立する、前述の「冷凍サイクル」という仕組みです。それぞれの部品の役割を確認しましょう。

冷凍サイクル

  1. 圧縮機
    圧縮機により気体状の冷媒を圧縮します。圧縮された冷媒は断熱圧縮の作用により高温・高圧になります。
  2. 凝縮器
    次に、高温・高圧の冷媒を凝縮器に送り、凝縮することにより液化させます。
  3. 膨張弁
    続いて液化冷媒は膨張弁を通過します。膨張弁を通過するとき減圧沸騰の作用が働き、冷媒は急激に減圧されるため沸点が下がります。
  4. 蒸発器
    こうして沸点の下がった冷媒を蒸発器に通すと、低い沸点で冷媒を気化させることができます。気化する瞬間には周囲の熱を奪う作用が働くため、ここで熱移動が行われます。

こうして気化した冷媒は再び圧縮機へと送られ、冷凍サイクルが一巡し、これを繰り返すことで冷気が作られ続けるのです。

冷媒が行っているのは熱移動であり、周囲から奪った熱はまたどこかへ移動させ放熱しなければなりません。その役目を果たしているのが、エアコンであれば室外機であり、冷蔵庫であれば裏側の放熱器です。冷房装置は冷気をつくり出す代わりに暖気もつくっているということも、環境面に配慮しなければいけない今の時代においては忘れてはいけません。

なお、冷蔵庫は、冷凍サイクルによって稼働するものが一般的ですが、アンモニアを冷媒として使う吸収式や冷媒を用いないペルチェ式もあります。冷却能力が低く電気代が高くつく理由から、一般家庭ではあまり使われていませんが、音が静かなためホテルや病院などで利用されています。

冷媒の種類

冷凍サイクルではどのような冷媒が適しているのでしょうか。冷媒として使われてきたガスは大きく三つに分類されます。

クロロフルオロカーボン(CFC)

低温冷凍機やカーエアコン、電気冷蔵庫に使われた冷媒で、CFC-11・12・113・114・115などの種類があります。

1970年代にフロン(フルオロカーボン)がオゾン層を破壊することが発見され、地球環境への影響が懸念され、モントリオール議定書で1996年に生産の中止・全面廃止となりました。それ以降、CFCは全面廃止が決まったフロンを指す「特定フロン」と呼ばれています。

ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)

パッケージエアコン、家庭用エアコンに使われた冷媒で、HCFC-123・22などの種類があります。

CFCに比べオゾン層の破壊程度が比較的小さいことから、CFCに変わり主流となりました。しかし、これもオゾン層を破壊する性質は有しているため、2020年の廃止が決定しています。CFCの廃止が決定した当初は、「代替フロン」と呼ばれていましたが、現在はCFCとともに「特定フロン」と呼ばれています。

ハイドロフルオロカーボン(HFC)

低温冷凍機から家庭用冷蔵庫、カーエアコン・家庭用エアコン・パッケージエアコンなど、現在幅広く使われています。CFC・HCFCにあった「クロロ」(塩素)を構造式に持たず、塩素を持たないフロンはオゾン層を破壊しないことがわかってからは、HCFCに代わって、こちらが「代替フロン」と呼ばれるようになりました。HFC-134a・152a・32・143a・125などの種類があります。

オゾン層を破壊しないことで主流となったHFCですが、温室効果についてはCFC・HCFCと同様二酸化炭素よりはるかに高く、地球温暖化対策の面から問題視されるようになっています。

これからの冷媒が進む道

このように、現在代替フロンと呼ばれるHFCも温室効果が高いことがわかり、それに代わる次世代冷媒の開発が求められるようになってきました。

次世代冷媒に求められる条件

新しい冷媒には、これまでの冷媒が抱えていた問題点や課題も含めて次のようなことが求められます。

  • 安全性
    毒性や可燃性がなく取り扱いが容易であること
  • 環境性
    オゾン層破壊や地球温暖化に影響しないこと
  • 性能
    寿命は長く、気候負荷が少なく、冷房効率がいいこと
  • 経済性
    コストパフォーマンスがよく、新興国でも使用可能な価格で安定すること

残念ながら、現在の多くの冷媒はこのすべてを満たすことができません。特に、地球温暖化への影響と燃焼性は相反する関係にあり、どちらも満たす冷媒はいまだ見つかっていません。地球温暖化への影響を限りなく低減することを重視したとき、かすかな燃焼性を有するのは許容せざるを得ないのが現状です。

新冷媒として注目されるもの

現在、新冷媒として注目され採用が期待されているガスには次のようなものがあります。

  • HFC(ハイドロフルオロカーボン)
    温室効果が高いとされるHFCですが、そのなかでは地球温暖化係数が低くエネルギー効率のいいHFC32は、次世代冷媒として注目されています。かすかな燃焼性があります。
  • HFO(ハイドロフルオロオレフィン)
    フッ素化合物ですがフロン(フルオロカーボン)ではなく、地球温暖化係数が極めて低いことが特徴で、微小な燃焼性があるものの毒性の低いHFO-1234yfが注目されています。ただし、現状の空調システムでは性能が低下してしまうことがわかっています。
  • 炭酸ガス
    過去にヒートポンプ式給湯器に使用されていた炭酸ガス(CO2)も再注目されています。温室効果ガスの代表のように扱われていますが、他の冷媒候補と比較すると地球温暖化係数は低く、無毒性・完全不燃性と条件は整っています。しかし圧縮喪失が小さいため、給湯器のような昇温機器には適しているものの、冷房機器で使用する場合には他の冷媒に比べて高い効率が見込めません。
  • プロパンガス
    地球温暖化係数が低く、冷媒として高い効率も出せます。ただし燃焼性が高いことが課題で、ごく少量の冷媒を使う分野でのみ使用可能と考えられています。

冷媒は進化していく

冷媒とはどのようなものか、どういった歴史を経て、今どのような課題を抱えているかをご紹介しました。

冷媒として長く使われていたCFCはオゾン層への影響が判明し生産を中止、今後冷媒として使われることはなくなりました。現在広く使われているHFCはオゾン層への影響がないものの地球温暖化係数が高く、世界ではより係数の低い冷媒が望まれています。こういった地球環境への影響と安全性、性能や経済性を総合的に考え、次世代の冷媒を模索し研究を進めていくことで、次世代の主流となる冷媒が生まれてくることが期待されています。

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