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SGC(センサーガスクロマトグラフ)は従来のガスクロと何が違う?―その特徴と活用シーン

SGC(センサーガスクロマトグラフ)は従来のガスクロと何が違う?―その特徴と活用シーン

ガスの濃度分析は農業、流通、鉄鋼、医療など、さまざまな分野で重要度が高くなっています。そういったガス分析の場面で、NISSHAエフアイエスのSGC(センサーガスクロマトグラフ)が活躍しています。SGCは従来のガスクロマトグラフとどういった点が異なるのでしょうか。SGCの特徴と活用事例を紹介します。

ガスクロマトグラフとは

物質を化学的・物理的な作用によって分離する方法をクロマトグラフィーといい、クロマトグラフィーを行う装置をクロマトグラフといいます。

そのクロマトグラフィーのなかで、気体または気化しやすい液体の化合物を分析する手法がガスクロマトグラフィーで、それに使用する装置はガスクロマトグラフと呼ばれます。ガスクロマトグラフ(Gas Chromatograph)はGC またはガスクロと略されることもあります。

ガスクロマトグラフは酸素や二酸化炭素のような空気中に多く存在する身近なガスのほか、エチレンや水素のような特定分野に深い関わりを持つガスでも利用されています。

分析・測定するためのガスは、多くの場合さまざまな成分が混在する状態で存在します。この混合ガスのなかで特定の成分を測定するためには、ガスを成分ごとに分離しなければなりません。こういったガスの分離を行うのがガスクロマトグラフです。

ガスクロマトグラフでは、測定対象となる試料ガスをキャリアガスに乗せてカラムと呼ばれる筒状の装置に流し込みます。カラムの容器内はシリカゲルや活性炭、担体に液相を担持した充填剤などが充填されています。試料ガスはこの充填剤の中を通過していきますが、試料ガス中に含まれる化合物の分子量や極性によって充填剤との相互作用が違うため、カラム内を進む速度が異なります。この速度の違いを利用し、カラムを通過中に成分の分離を行うのです。

例えば、金属中の水素濃度を測定することを目的した場合、一般的に昇温脱離法という手法によって成分の分析を行います。このとき、分析のためには金属中から放出される試料ガスに含まれる水素を分離しなければならないため、ガスクロマトグラフが必要となります。

ガスクロマトグラフの検出器

では、分離した成分はどのようにして検出・測定しているのでしょうか。

その検出・測定方法にはいくつかの方式があり、それぞれに特徴があるため使い分けられています。主な検出方法として次のようなものがあります。

  • 質量分析計(MS)による検出
    試料をイオン化し質量の違いによって電気的な分離を行い測定する方法
  • 熱伝導度検出器(TCD)による検出
    試料の熱伝導率の違いを利用し電圧をかけたフィラメントにガスを触れさせ電流値の変化を測定する方法
  • 水素炎イオン化検出器(FID)による検出
    水素炎によって引き起こされるイオン化反応を静電補修することで成分を検出し電気信号として測定する方法

以上3つはガスクロマトグラフにおける検出方法として広く普及しており、高機能で、精度も高く、化合物全般の分析が可能です。しかし、装置が大掛かりで操作に専門性を必要とし、価格も高いことから導入のハードルが高いといえます。

こうした従来の分析装置に比べ、簡便に使用できるタイプのガスクロマトグラフとして、半導体式ガスセンサーを検出器としたガスクロマトグラフをNISSHAエフアイエスが開発しました。それがSGCです。

  • SGC
    半導体式ガスセンサーを検出器に用いる方法

加熱した半導体の表面でのガスの酸化還元反応を電気的に検出するセンサーを使って、ガス濃度を測定する方法です。半導体式ガスセンサーによって検出できるのは、センサーが感度を持つ特定のガスに限られますが、他の測定装置と比較して小型で持ち運びが容易といった特徴があります。簡便に使えてオリジナリティに富んでおり、ガスクロマトグラフの新しい活用方法にもつながっていくことが期待されているのがSGCです。その特徴について見てみましょう。

SGCの特徴

SGCは、高度な検出器を備えた大型のガスクロマトグラフにはない、優位な特徴がいくつもあります。

簡単な操作で測定開始

SGCは操作に専門的な知識が不要で、試料のガスを注入するだけで測定を開始します。スキルを持った作業者でなければ操作ができなかったり準備に時間や手間を要したりといったことがなく、だれでも簡単に使用できます。

また、試料を濃縮する必要がなく、少量の試料での測定が可能なことも特徴です。

キャリアガス用のボンベが不要

SGCはキャリアガスとして自然大気を使用するため、キャリアガス用の高圧ボンベが不要で、携行する必要もありません。キャリアガス用ボンベが不要なことで、コスト面においても有利なだけでなく、ボンベ取り扱いに関してのリスクや交換の手間・時間も不要です。なお、一部高純度ボンベエアが必要となる機種があります。

小型で軽量

SGCには小型のカラムが使用され、本体サイズはB4サイズほどと非常にコンパクトです。また、キャリアガス用のボンベが不要なこともあり必要機材の総重量は大きく削減され、6.5kgと軽量です。

小型で軽量なため設置場所を選ばず、持ち運びが容易です。

リアルタイムな計測

小型で軽量なことで持ち運びができ、簡単な操作ですぐに測定できるため、「その場所のそのときの環境」を測定できます。

時間や気温などによって変化する環境をリアルタイムに測定することで、連続的な変化を観察できます。

環境省による製品評価

SGCは、環境省が進める環境技術実証事業に基づき、その環境保全技術を信頼できる第三者機関により客観的に実証されています。また、その結果を環境省WEBサイトなどにて公表されています。

SGCが解決する課題

SGCはこれらの特徴を活かし、多分野で課題解決に活躍しています。

金属の水素脆性評価

鉄鋼分野では、ハイテン(高張力鋼板)のような素材が普及するとともに、水素脆性の評価が重要になっています。

従来のガスクロマトグラフでは、検出器を真空状態に保つため真空引きを行います。真空引きを行うには、大型の真空チャンバーを必要とし、そのための大きな設置スペースも必要です。また、全般的に高価なため、導入に関してハードルが高く事業所単位での設置は現実的ではありません。 

一方SGCは大気圧下での分析が可能なので、真空チャンバーなどの大きな設備が不要です。また、小型で占有スペースを取らないといった特徴があります。そのため、専門の試験機関に測定を依頼して試験しなくても、鉄鋼材料の製造現場での測定も可能になります。

青果物の保管・運搬環境の設定

SGCは小型で軽量なため、持ち運びが容易です。また、ほとんどの機種でキャリアガスのボンベを必要としないため、必要機材の点数も少なく、さらに移動を楽にしています。

こういった携帯性の良さから、SGCは農業分野や流通分野でも活躍が期待できます。

青果物はエチレンの濃度によって成熟の進行が決まるため、エチレン濃度の管理が重要になります。ビニールハウスや冷蔵庫内でのリアルタイムなエチレン濃度測定により、そのときの環境下でのエチレン濃度把握が可能です。これにより、青果物の育成や保管・運搬、出荷のタイミングを見定めることができます。

環境中のVOC測定(例 車室内、住宅の室内)

VOC(Volatile Organic Compounds:揮発性有機化合物)は、健康への影響が懸念される物質に指定されています。厚生労働省ではVOCにあたる13物質の室内濃度に関する指針を設定しており、それぞれの基準値を設けています。 SGCでは13物質のうち、アセトアルデヒドとトルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレンの検出が可能です。

呼気や皮膚が発するガスの分析

人体が発するガスによって健康状態を知る研究が進められていますが、関連ガスは希薄なため高感度の測定が必要です。

SGCはアセトンやアセトアルデヒド、エタノール、水素のような呼気や皮膚ガスに含まれる成分を低濃度で分析できることから、健康や医療の分野での活用が可能です。

高感度・ポータブル・リアルタイムなガス分析が可能

ガスクロマトグラフの種類や、簡便でほかにない特徴を持つSGCの概要や用途について紹介しました。

SGCは従来のガスクロマトグラフに比べて小型で軽量です。持ち運びが容易なため、「今その場所がどういった環境なのか」といった、現地でのリアルタイムな測定を実現します。

NISSHAエフアイエスの低濃度ガス分析装置SGC(センサーガスクロマトグラフ)は、さまざまな分野で微量ガスの検出にご活用いただけます。具体的な活用方法については以下で紹介しておりますので、ぜひご参照ください。

SGC(センサーガスクロマトグラフ)の製品ページはこちら

SGC(センサーガスクロマトグラフ)

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